移住者情報Migrant information

- 牛島
- 「島は小さいけれど海で世界とつながっている。」
ゲストハウス「アイランドガール」には世界26ヵ国から旅人が訪れています。 - 横山敬子さん
- 牛島にUターン
里浦港から広葉樹の林道を歩いて集落へ。
林を抜けるとそこには手入れが行き届いた田んぼが広がっていました。田んぼの脇には石で囲われた溜池があちこちに。牛島は豊かな湧き水を背景にミカン栽培や稲作が行われてきた島です。


島特有の文化が息づいています
周囲4km、人口10人ほどの小さな牛島。
横山さんは牛島生まれで、小学校まで暮らしていました。
家族の勧めで中学校は丸亀市内へ。島の外に出たことで、島特有の文化を強く感じるようになったといいます。学生時代と社会人を経て、アメリカ人の夫と出会い結婚。夫の仕事の関係でオレゴン州で暮らしていました。
そして2000年頃に牛島に戻ってきます。
牛島には子どもの頃の風景が待っていました
戻ってきた牛島は子ども時代よりずっと人が少なくなっていました。
しかし変わらないものも。
牛島を西に東に行き来する大小の船。秋になり葦が枯れると水面を現す湿原。朝日で淡いブルーに染められた小浦港の空と海。
風景は横山さんを温かく迎えてくれました。


みんなが泊まれるような家を作ろう
帰ってきた横山さんのもとに親戚や友人が訪ねてくるようになりました。
訪れた人は牛島のことを口々に「ピースフル」と表現。平和な穏やかな島を意味しています。
1ヶ月、2ヶ月と滞在する人もいたそうで、
「1ヶ月もうちに泊まられたら困るやん(笑)。だからみんなが泊まれるような家を作ろうと思ったの。」
とはにかんだ笑顔で。
そこで築170年の古民家を改修してはじめたのがゲストハウス「アイランドガール」1号館。
続いて、向かいに1棟貸し切りの「アイランドガール」2号館を併設。
そして2018年に牛島の南端、小浦港に面した場所に「アイランドガール」3号館をオープンしました。

アイランドガール1号館

アイランドガール2号館
3号館はログハウス風の建物で、全面に瀬戸内海と丸亀の市街地(島の人は本土と呼びます)が眺められます。目の前には大型船や漁師の船がひっきりなしに通っていて見飽きません。
口コミと世界の宿の情報サイトAirbnb(エアビーアンドビー)を利用して、今までに26ヵ国もの国から旅人が訪れました。畑仕事を手伝ったり、島の人から魚や野菜をもらったり、島の人と一緒にご飯を食べたりと、旅人は牛島に暮らすように滞在しています。
「真っ先に大陸の情報が入ってくるのが島。
島は小さいけれども海で世界とつながっているんよ。」
そんな国際感覚を横山さんは小さい頃から身につけていたそうです。

アイランドガール3号館

アイランドガール3号館の内観
自立した女性になりたいと服飾の仕事を選ぶ
横山さんが子どもの頃は関西から親戚が度々島に集まっていました。
「その中には仕事を持ち自立している女性もいて、自分もそうなりたい。」と感じていたそう。
服飾関係を仕事に選び、繊維全般について勉強しました。
「本物を一から形にしないと私らしくない気がして。」とメーカーに入らず、作家として身を立て個展やギャラリーを運営してきました。


今は自宅の隣りにある工房「魔女のやかた」で創作活動をしています。
工房にはカラフルな色で織られたストールやバッグ、藍染め絣のブラウスやワンピース、フェルトの帽子など様々な作品がかけられていました。
羊毛を紡いで毛糸を作り、その毛糸を機織り機で織る、一から丁寧に。
「機械化されたものではなく手作りの品が好き。」と横山さんは言います。
作品には横山さんの世界の文化を大切にする思いが紡がれていました。


夕焼けの瀬戸内海を船が往く
横山さんの好きな風景は里浦港沖にある赤灯台からの夕焼け。
赤灯台から西の方角はスッと視界が抜けているので、夕日が海に沈むところを見ることができます。
夕日に向かって船が往くノスタルジックな風景は、牛島に泊まって眺めたい風景です。

「島から出ていかなくても、色んな人が訪れて色んな話が聞けることが牛島の魅力。」
ゲストハウス「アイランドガール」で横山さんは次の新しい出会いを楽しみにしています。

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